感情が沸点に達したとき、人はどうなってしまうのか [人生スイッチ]

2014年 スペイン=アルゼンチン合作

コンテンツ

あらすじ

 オムニバス形式で、「おかえし」、「おもてなし」、「パンク」、「ヒーローになるために」、「愚息」、「HAPPY WEDDING」の6話構成だけど、どれもそこはかとないペーソスが漂う内容。

 あまり詳しく説明するとネタバレになってしまうので、少しだけ。

「おかえし」

 ある飛行機で2人の乗客が世間話をしていたところ、2人ともガブリエル・パステルナークという男性と関わりがあったことが判明する。それどころか、その機中の乗客全員がパステルナークと関わりがあって、もれなく彼から恨まれていたのだ。

「おもてなし」

 雨が降りしきる夜、誰もいない食堂に客がやってくる。接客した女店員は顔色を変えて厨房に戻ってくると、女料理人にその客が高利貸しで、かつて自分の家族をめちゃくちゃにした男だと打ち明ける。厨房の女は「そんなロクでもない奴には料理に猫いらずを入れてやればいい」とそそのかす。さすがにそんなことはできないとためらう女店員を女料理人は刑務所も悪くないとさらに煽るのだ。

「パンク」

 新車のアウディで田舎道を颯爽を走る都会の男。その前にノロノロ走るオンボロ車が立ちふさがる。都会の男はオンボロ車を運転する田舎の男に悪態をつきながら追い抜くが、しばらくしてパンクしてしまう。橋の近くの路肩に停めてタイヤ交換を始めると、さっき追い抜いたオンボロ車が追いついてきた。危険を察して車内に避難する都会の男に、田舎の男がさっきのお返しと言わんばかりに執拗に因縁をつけてきて、アウディを破壊し始めた。

「ヒーローになるために」

 爆破技師の男が仕事帰りに路上駐車して娘の誕生日ケーキを取りに行っている間にレッカー移動されてしまった。そこは駐車違反区域ではなかったと憤る男は反則金支払窓口で長々抗議し、肝心の娘の誕生日パーティーに遅刻してしまった。彼は自分の正当性を妻に訴えるが、以前から彼の粘着質な性格に辟易としていた彼女に離婚を切り出されてしまう。何もかも失ったのは役所がせいだと怒った彼は爆破技師としての技術を活かし、とんでもない行動に出てしまう。

「愚息」

 ある朝、裕福な家庭の息子が泣きながら帰ってきた。車で妊婦を轢いてしまい、そのまま逃げてきたのだ。テレビでは、妊婦と胎児は病院搬送中に死亡してしまったと報じている。父は、たまたま作業に来ていた使用人の庭師を替え玉に仕立て上げようと思いつき、1年の刑期の見返りに50万ドルを支払うとオファーした。

「HAPPY WEDDING」

 結婚式の会場。式は順調に進行するが、招待客の女性と新郎が親しげにしているのに気づいた新婦は、その場で新郎の携帯電話から電話をかける。すると、その女性の携帯につながってしまった。新郎の浮気にショックを受けた新婦は錯乱し、幸せに包まれた結婚式は一転して惨劇と化してしまった!

感想

 人間のさまざまな感情をモチーフにした少々ブラックなストーリーがどれも楽しい!それぞれの作品に繋がりはないので時間があるときに少しずつ鑑賞することもできます。最初の「おかえし」なんかすごく短い話なのですが、先頭打者として期待どおりのクリーンヒットをビューワーに向かって打ってくる。そして最後の「HAPPY WEDDING」も新婦ブチギレ、新郎泣き出す、参列者ドン引きとラストストーリーにふさわしい盛り上がりを見せる。どれも誰もが共感できるストーリーばかりで、人間ってやっぱり人種や国籍など関係なく、もっと根本的な感情の部分で理解しあえるんだなーとコメディ観ながら、少し真面目なことを考えてしまいました。
 実際、監督はこの作品について、

「私たちは皆、このシステムが私たちの利益のために組織化されていないことを意識しています。私たちは善良な市民のように振る舞い、税金を支払い、法律で市民を遵守し、彼らが私たちに販売する製品を購入しますが、同時に天井が低いか、酸素がなかったため、私たち全員が不快に感じます。これは、私たちの恋愛生活や家庭生活に反映される大きなプレッシャーを生み出します。私たちはこの時間の欠如、お金を稼ぐためのこの極端な困難に苦しみ、私たちが興味のない非常に多くのことをします。その現実に直面して、多くの人が落ち込んで、他の人は爆発する。これは、爆発する人、限界を越え、物事が実際にどのように機能するかを明らかにする人々についての映画です。」

wikipediaの機械翻訳

と語っているそうです。日本映画でも昔「バカヤロー。私怒っています」っていうのがありましたね。それとコンセプトは近いのかも。
 「最近、なんか無表情だなー」と思う人は是非観てみてください。登場人物と一緒に泣いたり怒ったりしているうちに気分が晴れるかも。

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