80年代サブカル映画の完成形 [ストレンジャー・ザン・パラダイス]

1984年 西ドイツ、アメリカ

あらすじ

 ニューヨークで勝手きままな生活を送るウィリーの部屋に、故郷ハンガリーから従姉妹(いとこ)のエヴァが訪ねてきた。エヴァはクリーヴランドに住むおばさんを訪ねることになっていたのだが、そのおばさんが入院することになってしまったため、しばらく泊まることになったのだ。最初は邪魔者扱いにしていたウィリーだが、生活を共にするうちにエヴァを気に入り始めた。しかし、やがてエヴァは去り、ウィリーの生活は相棒のエディーとともに博打三昧の日々に戻った。

 それから1年後のある日、博打で大金を手にして上機嫌のウィリーとエディーは、ノリでクリーヴランドのエヴァのところまで車を走らせることにした。
 長いドライブを経て久しぶりに再会したエヴァは、真冬のクリーブランドの田舎で退屈していた。それを見たウィリーは、南国のマイアミにエヴァを連れて行こうと思い立った。

 怒るおばさんを尻目に、今度は三人の長距離ドライブが始まった。数日走り続けマイアミ到着まであと少しのところまでやってきた。最後に泊まったモーテルでウィリーはもう一稼ぎしようとエヴァを置き去りにしてエディーと競馬に行ってしまった。放置されて不満なエヴァが、土産物屋で買った大きなツバの帽子をかぶってあてもなく海岸を歩いていると、ヤクの売人と勘違いされて大金を握らされた。偶然にも彼女がかぶっていた帽子が現地の売人の目印だったのだ。

 期待はずれのアメリカに飽き飽きしていたエヴァは、その金でヨーロッパに帰ろうと空港へ向かうが、その日の最後の便はよりによってブタペスト(ハンガリーの首都)行きしかなかった。エヴァはチケットカウンターでどうしようか考えあぐねた。

 一方その頃、競馬に勝って上機嫌でモーテルに戻ってきたウィリー達は、エヴァの書き置きを見て慌てて彼女を引き止めるために空港へ向かった。

 さて、3人は無事再会することができるのだろうか。

クリックするとラストが表示されます(ネタバレ注意!)
 結局エヴァは考え直して飛行機には乗らずモーテルに帰ることにした。彼女の背後には彼女を追ってウィリーが乗ったハンガリー行きの飛行機が離陸して行った。

感想

  ジム・ジャームッシュの出世作であり、映画史に残る名作です。その理由は、ストーリーよりもそのスタイルです。

 全編モノクロ(それも粒子が荒い)映像で綴られていますが、この作品が作られた1984年は当然カラー映像が主流であり、モノクロ映像はむしろ古臭くて敬遠されていた時代でした。そういった時代において敢えてモノクロ、そして敢えてノスタルジックな字幕や音楽を使っているあたりが、当時は斬新かつスタイリッシュだと評価されました。あれからさらに30年近いときが過ぎたデジタル全盛時代の今、アナログ、モノクロといった懐古趣味が若い世代を中心に復活してきています。この作品が若い世代に注目される日も遠くないかも知れません(もうされている?)。

 映像に加え、登場人物のデカダンス(退廃的)なライフスタイルも魅力です。作中エヴァが好んで聴くScreaming Jay HawkinsのI put spell on youも雰囲気出しています。

 誰ひとりとして健康で長生きしようなんて真っ直ぐで計画的な生き方をしていません。ニコチンとタールの匂いがあちこちにこびりついていた時代、そんな80年代を思い出させてくれます。やはり、あの時代は世紀末だったのだと回顧しました。

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