余命宣告された僕たちは、海に向かって、ひたすら車を走らせた。 [ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア]

1997年 ドイツ

あらすじ

 ギャングのボスが経営するナイトクラブに呼び出された手下のヘンクとアブドゥルは、ボスからベンツを大ボスのところまで運転する任務を命じられた。ボスからは、何があっても車から目を離すなと厳命された2人は、どちらが運転するか揉めながら出発した。

 その頃、偶然同じ日に同じ病院で検査を受けていたマーティンとルディは、それぞれの主治医から余命僅かであると告知され、そのまま偶然同じ病室で入院することになった。常識人のルディは病室でも平気で喫煙するマイペースな性格のマーティンに眉をひそめていたが、お互い余命僅かであることが分かると些細なルールなどどうでもいいように思われた。それまで見知らぬ他人の2人だったが、同じ境遇に置かれたことから妙な連帯感が芽生えた。

 2人は病院の厨房に忍び込み、酒を酌み交わした。ルディがまだ海を見たことがないと打ち明けると、マーティンは「天国に行ったら皆んな海の話をするのに、見たことがないんじゃ除け者になる」と茶化した。そして、海を見るために病院を抜け出そうと言い出した。 

 その頃、ボスのベンツを運転していたアブドゥルがヘマをして道で不良少年を跳ねてしまった。ごねる少年に要求されるまま、渋々ベンツに乗せて病院へ行った。

 海に行くための足を病院で物色していたマーティン達は、駐車場でたまたま目に入ったアブドゥル達のベンツを拝借することにした。みすみすベンツを奪われたアブドゥル達はボスにこっぴどく叱られ取り戻してくるよう厳命された。

 病院を抜け出し、意気揚々とドライブしていたマーティン達だったが、いかんせん思いつきだったので、金を一銭も持ってきていなかった。余命僅かで開き直っていたマーティンは、近くにあった銀行に躊躇うこともなく押し入って大金を手に入れた。

 懐も温かくなり機嫌良く旅を進めるマーティンとルディだったが、突然マーティンに襲いかかる発作が、残された時間がほとんどないことを、2人に思い出させた。

 さらに道中何気なくベンツのトランクを開けた2人は、その中に100万マルクが入ったスーツケースを見つけた。それはアブドゥル達が大ボスに届けるために託された金だった。

 2人の旅はさらに豪勢になった。高級ホテルのスイートルームに泊まり、「やりたいことリスト」を作った。マーティンの1番の願い事は母親にプレスリーが乗っていたのと同じキャデラックを贈ること、そしてルディのそれは何と乱交パーティーをすることだった。その頃、強盗の通報を受けた警察が容疑者のマーティンの捜索を始めていた。マーティンの単独犯だと思われていたこともあり、ルディは人質だと勘違いされていた。同じ頃、ギャングのボスも100万マルクを奪ったのはマーティンとルディであることを突き止め、警察とは別ルートで追跡を始めていた。

 遂に警察とギャングに発見されてしまった2人は、カーチェイスの末に田舎道でギャングと警察に挟み撃ちになってしまった。絶対絶命だと観念したが、ギャングと警察との激しい銃撃戦が始まったため、運良く逃れることができた。

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 そして2人は各々の“やりたかったこと“を達成すると最後に目的地である海にたどり着いた。そこは2人の人生の終着点でもあったのだった。

感想

 20世紀末のドイツの映画です。製作された時期にはすでに東西統一されていましたが、まだユーロ導入前(決済通貨としては導入されていた)で当時のドイツの通貨マルクが登場するのが懐かしかったです。制作された時系列を無視して例えれば、「最高の人生の見つけ方」と「ダーティー・メリー・クレイジー・ラリー」のエッセンスをミックスした感じの作品です(もっと近しい作品もあると思うが思いつきませんでした)。

 あらすじでは書ききれませんでしたが、プロットがよく出来ていて、病院、中古車屋、ナイトクラブ、ホテルといったシーンを主人公の2人、ギャングの手下、警察が、行き違ったり鉢合わせたりで、90分という短い尺でテンポ良く進行するのが小気味よいです。また、主人公2人も端正な容姿で、コミカルだけどシリアスという、いわゆる「カッコいい」系の作品に仕上がってます。

 個人的に残念だったのはラストの海のシーンです。台風が近づいているのではないかと思うくらいの強風と高波の海辺は最期を飾るのには相応しくないように思いました。天国を連想させるような穏やかな天気でもよかったように思いますが、そんなの凡人のセンスで面白くないという意見もあるかもしれませんね。

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