隣人がナタを振りかざして追いかけてくる日常(実話) [ホテル・ルワンダ]

2004年 イギリス・イタリア・南アフリカ

あらすじ

 ポール・ルセサバギナはルワンダの首都キガリにある高級ホテル「ミルコリンズ」の副支配人だった。ホテルの従業員を統率する傍ら、欧米の有力者や政府軍将軍へ賄賂を贈って人脈づくりも抜かりないしたたかなやり手だった。

 当時ルワンダではフツ族率いる政府軍とツチ系のルワンダ愛国戦線との間で武力衝突が起きており、その中でフツ族過激派(フツ・パワー)によるツチ族排斥の機運も高まっていた。

 政情不安の情勢下でもミルコリンズは国連の平和維持軍の保護の下、欧米からの観光客で賑わっていた。

 大統領とルワンダ愛国戦線のリーダーとの和平協定締結により、武力衝突は終結することになりそうだったが、その直後大統領が乗った飛行機が墜落するという惨事が起きた。フツ・パワーはこれをツチ族による暗殺であると断定しツチ族排斥を宣言した。

 そして街ではフツ族によるツチ族虐殺が始まった。ポール自身はフツ族だったが、妻のタチアナはツチ族だった。妻と子供の身を案じたポールは、自分の家族やツチ族の隣人をミルコリンズに避難させた。

 何日もたたないうちにミルコリンズは宿泊客と避難してきた地元住民で溢れた。ポールはルワンダの惨状を知った欧米各国が救いに来てくれるだろうと楽観的に考えていた。しかしポールの予想に反して、欧米各国は自国民の国外脱出以外の行動を取ろうとしなかった。

 ホテルに取り残されたポールとホテル従業員、そして避難してきた地元住民は、自力でこの状況を乗り切るしかなかった。ポールはホテルにいる人々に向かって、国外に在住している知人に電話をかけて、お別れの挨拶をするよう呼びかけた。それはルワンダの知人を見殺しにすることへの罪悪感を抱かせ、何とか救援しなければならないという運動に発展させるための作戦だった。

 状況は悪化するばかりだった。来るかも分からなない救援を待ちつつ、ポールはそれまで築き上げた人脈と賄賂を使って何とか危機を逃れた。

 徐々にポールの作戦の効果が現れてきた。何人かは国外の知人の援助により脱出できることになった。ポールの家族もそのリストに載っていたが、彼はホテルに残された人々を見殺しにはできないと家族だけを脱出させることにした。しかし彼の家族が乗った移送用のトラックは、出発してまもなくフツ・パワーに攻撃されてしまい、ミルコリンズに引き返す羽目になった。

 孤立無縁の状態でホテルに残された食料も水も底をつき、ポール達の命運は尽きようとしていた。さて、その運命は。

感想

 ルワンダにおける民族対立が招いた大量虐殺を描いた作品で、実話を元にしているそうです。

 ツチ族とフツ族の違いですが、地元民も外見からははっきりと見分けることができず、身分証に押された「フツ」、「ツチ」のスタンプで判別しています。民族や文化由来ではなく、ベルギーによる植民地支配下で政策的都合で設けられた区別とのことです(さらに歴史を遡ると2つの民族にはさまざまな因縁があるようです)。

 植民地時代に差別的政策があったとはいえ、同じ自国民でルーツも同じ(諸説あるようです)民族が殺し合うというのは恐ろしい話です。

 ポールが仕入れのために霧の中車で移動している途中、急に道を外れたかのように車が揺れ出します。車を停めて降りると、そこには無数の虐殺の犠牲者の遺体が道の向こうまで横たわっているシーンがあります。差別に対する恨みの根深さとは人間をそこまで駆り立てるのかと考えさせられます。

 尊厳を傷つける差別に集団心理が加わると大惨劇の引き金になりかねないということを、改めて考えさせられました。

 ルワンダ虐殺については、「ルワンダの涙」という作品もあります。どちらかというと、私としてはそちらの方をお勧めします。本作は少々ハリウッドの匂いがするからです。

 蛇足。個人的には、情動的な妻のタチアナは少し苦手でした。赤十字の職員に、超危険な地域に住んでいる自分の兄の一家を救って来て欲しいと頼み込んだりするあたりが図々しいというか身勝手というか。実際その頼みを聞いた赤十字の職員も危険な目に遭ってしまいます。

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