油断一瞬! [ダーティー・メリー・クレイジー・ラリー]

 1974年 アメリカ

 68年式の青のシェビーが、とある家の前で停まると、家の中から男が出てきて運転席に滑り込んだ。男の名はラリー。職業はレーサーだ。そしてシェビーで彼を迎えにきた男はディーク。ラリーの担当メカニックだ。

 シェビーの派手なスキール音で寝室の女が目を覚ました。女の名はメリー。ラリーと一夜を共にした女だ。

 ラリーとディークはレースで勝てる車を買うため強盗を計画していた。ディークがスーパーマーケットの責任者の妻子を人質にして脅し、ラリーが責任者から店の売上金を受け取る算段だった。

 2人は首尾よく事を進めるが、やり逃げされたと怒って追いかけてきたメリーが逃走用のシェビーに乗り込んできてしまった。2人はメリーを車から下ろそうとするが、なかなか引き下がらないメリーに根負けし、仕方なく3人での逃亡劇が始まった。

 一方、通報を受けた警察も黙っていなかった。犯人逮捕のためなら手段を選ばないフランクリン隊長が招集された。隊長はラリー達の先を読んで何度も追い詰めるが、後一歩のところで取り逃してしまった。業を煮やしたフランクリンは自らヘリに乗り込んだ。

 いくつかのトラブルやピンチを切り抜け、3人は計画どおりクルミの森に到達した。そこはクルミの木々の間を無数の道が縦横に交わっているため、どの道から森を出てくるのか予測が困難な特殊な場所だった。

 このままでは取り逃してしまうと焦る隊長は、搭乗していたヘリを超低空飛行させてラリー達の車に体当たりさせようとした。これにはさすがのラリーも焦った。しかしもう少しというところでヘリの燃焼がなくなってしまった。とうとうラリー達の勝利が確定した!車を走らせ上機嫌でこれからの夢を語る3人。そのとき、あっ!

感想

 ラリーはNASCARレーサーという設定のようですが、作中ではそこははっきりと語られません。

 交差点をドリフトしながらコーナーリングするときに、パワーを早くかけすぎていつもリアタイヤが道路から少しはみ出してしまうところが気になりますが、多分そちらの方が土煙が立って迫力があるだろうという演出で、本気のラリーはもっと運転が上手いはずです。

 なんといってもメリーのオテンバぶりが大変です。実際に身近にいたらほとほと手を焼くことでしょう。

 しかし、私の心に一番残ったのは不憫なディークでした。ラリーと2人で強盗を実行し、ラリーとメリーと共に逃亡劇を繰り広げるのに、イマイチ目立たない上にタイトルからも外されてしまい「無かったこと」扱いです。やはり、3人の中で唯一の常識人だったからでしょうか。そういうディークもどうやら酒で失敗した過去がある様子。残念ながら詳しいことが語られることはありませんでしたが、ちょっと興味をそそられます。

 コンピュータがまだ人間の足手纏いでしかなかった古き良き時代に繰り広げられた、大らかなカーチェイス活劇です。

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