大人向け賽の河原 [残酷で異常]

2014年 カナダ

あらすじ

 バスルームで、男が女の心臓マッサージをしている。必死に蘇生させようとするが、女はすでに絶命していた。

 男の名前はエドガー。そして、彼が蘇生させようとしていたのは妻のメイロンだった。

 冴えない中年のエドガーは、外国人で子持ちの女性メイロンと結婚し暮らしていた。エドガーは、メイロンが経済的安定を理由に自分と結婚したことは分かっていた。そして、若く美しいメイロンが他の男に奪われることを恐れていた。メイロンの連れ子のゴーガンもエドガーにとっては厄介者でしかなかった。そのため息子を溺愛するメイロンとしばしば口論になった。

 エドガーがメイロンと2人で車で外出していると、ゴーガンの通う学校から電話があった。ゴーガンがクラスメイトに暴力を振るったらしい。家でゴーガンを待つが、なかなか帰ってこない。心配するメイロンと、また口論になってしまった。

 突然持病の潰瘍が再発した。痛みに耐えながら自室に入ろうとドアを開けた瞬間、見たことがない廊下に倒れ込んでしまった。状況を飲み込めないエドガーがドアに寄りかかると、期せずしてそのドアが開いた。ドアの向こうでは、グループミーティングが行われていた。仕切っているのはモニタに映っている老女だった。エドガーはその老女から「自分の行いをどう感じているか」と詰問されたが、意味がわからないとエドガーが反抗的な態度をとると7734号室へ行けと命令された。

 7734号室は地下にあった。部屋の中には、またモニタが置かれており、今度は男の顔が映っていた。男はエドガーに「まだ記憶が薄いようだが、徐々に思い出すことになるだろう。君の妻を殺害したときのことを」と告げた。エドガーは、自分が愛する妻を殺すわけがないと激怒し、部屋を出ようとドアを開けた。ドアの向こうは元の世界だった。

 エドガーは吐血していた。メイロンに救急車を呼ぶよう頼み、ソファに横たわった。動揺しているせいか、メイロンに強く当たってしまった。自分のそばを離れてキッチンへ向かったメイロンに腹を立てたエドガーは、電話を貸せとメイロンを追いかけ、バスルームで馬乗りになった。そして抵抗するメイロンから電話を奪おうともみ合っているうちに、メイロンの呼吸が止まっていることに気づいた。エドガーは憔悴した。しかし、次の瞬間、彼はまたメイロンと車の中にいた。ゴーガンの学校から電話があったあの時にもどっていたのだ。

 何度も同じ体験の無限ループにはまったようだった。そのループから抜け出そうと、意図的に違うことをやっても結局元の木阿弥になってしまう。しかしエドガーは無限ループを繰り返す中で、徐々にメイロンが料理に毒を混ぜて自分を殺害しようとしていたのではないかという疑念を持ち始め、やがてその疑念は確信に変わった。

 そして、ふとドアを開けると、またあの不気味な世界に戻っていた。そこにいる人々は、皆、罪人だった。そして、ドアの向こうでその罪を繰り返し体験し、懺悔することを強いられているのだった。エドガーはグループミーティングを仕切っているモニタの中の老女に「妻の死は事故で、自分は殺していない」と訴えた。しかし老女の答えはこうだった。「どちらが先に死んだのか。もし妻が先なら、それはお前が殺したということだ」。

 そのときエドガーは、もしメイロンが料理に混ぜた毒で自分が先に死んだら、自分の代わりに彼女がこの苦行を味わうことになることに気づいた。そして、彼女をそこまで追い詰めたのは彼女をがんじがらめにしてしまった自分のせいだと思った。彼女の気持ちがどうであろうと、エドガーはメイロンを愛していた。そしてエドガーはある決断をするのだった。

クリックするとラストが表示されます(ネタバレ注意!)
 メイロンが自分を殺害しこの地獄を味わうことがないよう、そして自分がメイロンを殺めてしまうことがないよう、エドガーは自ら首を吊った。

感想

 やや難解な作品です。あらすじはストーリーを正確にトレースできているとは言えず、ドアの向こうの世界で出会うドリスという女性も鍵となるのですが、複雑になりすぎるので割愛しました。

 ドアの向こうの世界はいうなれば「地獄」で、賽の河原で永遠に石を積まされるのと似ています。もちろん閻魔様や鬼がいたりするわけではありませんが、自分が犯した罪を永遠に繰り返し、忘れることを許されないのです。ラストを観て「そんなことができるわけがない」と冷めてはいけません。この手の話には元々の設定が非現実なので一抹の理不尽さはセットです。それにしても、エドガーには同情を禁じ得ません。彼は本質的には悪人ではなく、ただ甘い結婚生活に憧れただけだったのですから。金で他人を服従させようとする奴に同情の余地はない?そういう見方もあるでしょうね。

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