平和な日常も一歩踏み外せば暗黒社会に真っ逆さま [それでも夜は明ける]

2013年 アメリカ

あらすじ

 1840年代。アメリカ南部では、まだ黒人を奴隷とすることが認められていた時代の話。

 自由黒人として認められていたソロモン・ノーサップは、ニューヨーク州でバイオリン奏者として働き、家族と幸せに暮らしていた。ある日ソロモンは、サーカスを主宰しているという男たちから、サーカス団に帯同してバイオリンを演奏して欲しいと依頼され、引き受けた。仕事が順調に思えたのも束の間、勧められるがままに深酒してしまい、目覚めた時には廃屋の一室にいた。そしてそこにやってきたのは、なんと奴隷商人だった。身ぐるみを殆ど剥がされてしまい自分の身元を証明できるものはなにもないソロモンは、同じように誘拐された黒人たちと共に船で南部へ運ばれ、奴隷として売られた。

 「プラット」と名付けられたソロモンは、フォードという名の農場経営者に買われた。
 機転が効き、バイオリンも弾けるプラットことソロモンはフォードに目をかけてもらったが、フォードの借金のかたにエップスという男に譲渡されることになった。エップスの奴隷たちの扱いは酷いものだった。男性の奴隷には理由もなく暴行を加え、若い女性の奴隷を手込めにした。ソロモンは何とかニューヨークの家族と連絡を取りたかったが、その術はなかった。

 もうこのまま一生奴隷として生きるしかないのかと諦めかけていたソロモンは、エップスから小屋作りを請け負ったサミュエルという大工の手伝いをすることになった。サミュエルはカナダ人で、奴隷制度には否定的だった。ソロモンはそんなサミュエルに最後の望みを託し、北部の友人に手紙を送って欲しいと頼んだ。

 ソロモンは再び自由を取り戻せるのか。

クリックするとラストが表示されます(ネタバレ注意!)
 サミュエルは手紙を送ることをソロモンに約束し、農場を去った。

 何日か後。畑仕事をしているところへ保安官がやってきて、ようやく家族のもとへ戻ることができた。

 ソロモンは自分の誘拐事件の関係者を訴えたが、奴隷商人には敗訴、実行犯については長期の捜査の上不起訴となった。
 その後、本を執筆し、全米で講演した。また、奴隷の逃亡を手助けする地下鉄道を支援した。
 その後消息を絶ったが、彼の死については謎のままとなっている。

感想

 実話に基づく話です。奴隷として売られた黒人が、自由黒人の地位を勝ち取る話としては「ルーツ」が有名ですが、この作品は真逆で自由黒人が奴隷にされてしまうという展開です。ソロモンのケースは氷山の一角に過ぎず、わずか100年前のアメリカではこのような人身売買が頻繁に行われていたのですから、奴隷制など言語道断であるということすら米国民としてはつい最近の常識なのでしょう(そして一部の人はまだそれが常識ではないと主張しています。)。そして日本にいると忘れがちですが、日本人をはじめとするアジア人も欧米では人種差別される側です(山崎豊子氏の「二つの祖国」等でその辺の事情を知ることができます)。

 この作品を観て、人種問題もさることながら、安心安全だと思い込んでいる日常も、一歩踏み外しただけで底無しの暗黒社会に飲み込まれてしまうという恐ろしさを再認識しました。そのことは私たちの住む日本でも、形は違えどもまた同じですね。気をつけましょう。

  ソロモン・ノーサップのその後はWikipediaに詳しい解説があります。

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