モロッコ的ほろ苦青春ストーリー [サバイビング・モロッコ]
2011年 ベルギー・フランス・モロッコ・ドイツ・アラブ首長国連邦
あらすじ
マリクとスフィアンは兄貴分のアラールとともにひったくりなどで小銭を稼ぐ小悪党だった。アラールは刑務所から出所したばかりなのに、相変わらず悪事で成り上がることしか考えていなかった。
ある日マリクは街で見かけた女に恋をした。彼女の名はドゥニア。高級クラブの嬢だった。マリクはなけなしの金をかき集めて彼女のいる店に通った。
マリクの姉アワテフは縫製工場で働いていた。家計の足しにするために、工場から高級ブランドのエンブレムを腹に巻き付けて盗み出していた。マリクはそれを密売組織に引き渡す役目だったが、金を家に入れずにドゥニアの店に遣ってしまった。必死の思いで通っているのにドゥニアは釣れなかった。マリクはそれが腹立たしかった。
麻薬組織の一斉摘発でドゥニアが逮捕された。そのことをテレビのニュースで知ったマリクはなんとかして彼女を救い出したいと思った。マリクは刑事に接近し、情報屋になることを条件にドゥニアを釈放してもらった。情報屋となった見返りに刑事が手配してくれたホテルの一室に、行き場のないドゥニアを住まわせた。それからマリクとドゥニアの同棲生活が始まった。マリクはすっかりドゥニアとの生活に夢中になってしまったが、それも束の間、刑事から情報屋としてきちんと働けと警告されてしまった。
マリクは、アラールから宝石店強盗の計画に誘われた。彼はドゥニアと一緒にいるため、アラールとスフィアンを刑事に売ることにした。ドゥニアと、全てが終わったら2人の新しい生活のために遠くへ旅立とうと約束した。
計画実行の日。強盗に入るやいなや警官たちが急行してきた。アラールは逃亡途中に刑事に銃殺された。マリクはそのアラールが握りしめていた宝石が入った袋を掴み取ると、刑事を裏切って独り逃亡し、ドゥニアが待つ駅に向かった。無事辿り着いたマリクに、ドゥニアは「宝石の入った袋をそのまま持っていては危ないから自分の荷物に隠してくる」と言ってマリクから袋を預かりトイレに入っていった。その背中を見送るマリクはこれから始まる甘い生活への期待で頭がいっぱいだった。
感想・コメント
モロッコといってもその場所を正確に言える人は意外に少ないかもしれません。アフリカ大陸の最北端に位置し、地中海を挟んでイベリア半島(スペイン、ポルトガル)があります。その位置関係からアフリカからヨーロッパへの密入国の入り口にもなっています。かつて、モロッコ人が貧しい生活から抜け出すためにスペインに密入国する小説を読んだことがありましたが、今はどうなのでしょうか。
作中のマリクたちの暮らしぶりは貧しいですが、生活が成り立たないというほどではなく、南米や東南アジアを連想させるレベルのように見えました(地域で十把一絡げにするのも乱暴ですが、イメージということでご容赦願います)。この話は簡単に言えば、恋愛に夢中になった男が仲間を裏切るという筋書きですが、ラストが面白かったです。教訓は”女性は怖い”ということなのでしょう(女性陣からは「怖いのは男性の方」と反論されそうですが)。実はあまり期待なく鑑賞しましたが、予想外に楽しめました。モロッコの日常風景を垣間見れる点も興味深かったですよ。
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