霧の中を彷徨うような人生に、陽が差すことは……多分 [ビューティフル・デイ]

2017年 イギリス

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あらすじ

 ジョーは誘拐され売春婦として売られた少女の奪還屋だった。彼のやり方は、売春宿に単身乗り込み、護衛を殺害して奪還するという大胆なものだった。私生活では秘密主義を徹底し、年老いた母と二人で密やかに生きていた。彼にはトラウマがあった。幼い頃父親に虐待されていたのだ。そのせいか、彼にはビニルを被って窒息感覚を味わうという自虐的な趣味があった。仕事の時に凶器として金槌を好んで使うのも父の影響かもしれなかった。

 ある日、州上院議員アルバート・ボットの依頼で10代の娘ニーナを奪還する仕事を引き受けた。いつものように周到に準備をし、高級売春宿からニーナを奪還した。そこまではいつもどおりだったが、そこから事態は妙な方向へ向かった。

 待ち合わせ場所に指定していたホテルに依頼主のボット議員は現れなかった。そしてテレビのニュースは彼が飛び降り自殺をしたと報じていた。ドアがノックされ、市警の警官が乗り込んできた。ニーナは連れ去られ、ジョーは消されそうになった。負傷しながらも何とか逃げ切ったジョーだったが、仕事仲間は皆殺害されていた。自宅に戻ると母までもが亡き者にされていた。まだ家の中を物色していたスーツ姿の侵入者を急襲して口を割らせ、ニーナがウイリアムズ州知事の別宅に連れ去されたことを掴んだ。侵入者からジョーは意外な事実を知った。州知事には少女売春の趣味があるというのだ。

 ジョーは選挙事務所から帰宅する州知事の後を追うとそのまま山中にある別宅に乗り込んだ。しかしそこでジョーは意外な光景を目の当たりにした。州知事が喉を掻き切られ死んでいたのだ。呆然としながら、階下の食堂に行くと、そこには独り食事を摂っているニーナの姿があった。

 ニーナを連れて街に戻るが、二人に行く宛はなかった。立ち寄ったレストランで、いつしかジョーは銃で自殺する自分の姿を妄想していた。我にかえるとニーナが彼に微笑んだ「行こう。今日は天気がいいわよ」

感想

 ホアキン・フェニックス主演。リバー・フェニックスの弟でジョーカーの主演などをやっている超有名俳優です。ところが、そんな予備知識なくこの作品を観ると、演技は渋いけど体型がだらしないという印象を受けてしまうでしょう。彼は役にあわせて体型を変えているようなので、もう少しシュッとした感じでも良かったと思いました。この辺は、監督の考え方に原因があるのでしょう。

 作品自体は、ホアキンの演技力で成立していますが、ややジョーの人物像の描写が不足していると言わざるを得ません。過去のトラウマの呪縛から逃れられず苦しみ続けている彼の姿がこの映画の肝だと思いますが、その苦悩が伝わるほど丁寧に描けていないのです。また、ニーナというキャラクターについても感情移入するには情報が足りませんでした。雰囲気はいいだけに、昔のビデオゲームのように人物像の掘り下げの浅さが目立つ、少し残念な作品でした。

 私の感想はイマイチでしたが、カンヌで脚本賞と男優賞とっていますし評論家の評価も良いようなので、良い作品なのではないでしょうか。

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