”悪魔のような”ではなく悪魔です [悪魔のような女]

1955年 フランス

あらすじ

 フランスにあるデュラサール夫妻が運営する寄宿学校。資金を拠出していたのは妻のクリスティーナだったが、校長に君臨していたのは夫のミシェルだった。クリスティーナは専横的なミシェルと離婚し、学校を自分の手に取り戻したいと思っていた。ミシェルは女教師のニコル・オニールと堂々と不倫までしていた。しかしクリスティーナにとってニコルは、夫の浮気相手であると同時に、夫からの暴力の悩みを打ち明ける相談相手でもあるという不思議な関係だった。

 離婚は罪だと躊躇うクリスティーナに、ニコルは恐ろしい計画を持ちかけた。三連休にニオールにあるニコルの実家でミシェルを殺害しようと言うのだ。先にクリスティーナとニコルとでニオールに行き、そこからクリスティーナが学校にいるミシェルに電話をかけ離婚を切り出した。思惑どおり激怒したミシェルがクリスティーナを連れ戻しにニオールまでやってきた。そこでクリスティーナが睡眠薬入りの酒を飲ませ、意識喪失状態のミシェルをニコルがバスタブに沈め溺死させた。

 そして死体を学校へ運び、季節外れでしばらく使うことがないプールに沈めた。

 翌日から、クリスティーナの落ち着かない日々が始まった。計画では数日中にミシェルの水死体が発見され事故死で片付けられるはずだった。しかし、待てど暮らせど死体は浮かび上がってこなかった。耐えきれなくなったクリスティーナは用務員にプールの掃除を命じた。しかし、信じられないことに水が抜かれたプールにミシェルの死体はなかった。

 クリスティーナの精神は不安に蝕まれ、持病の心臓病も悪化していった。そこへ死んだはずのミシェルのスーツがクリーニング店から配達されてきた。店に行き依頼主のことを尋ねると、ホテルの鍵を忘れ物として預かっていることが分かった。その足でホテルに行ったが従業員は誰一人としてその部屋の客に会ったことがないと首を横に振るばかりだった。

 そんなクリスティーナに一人の老人が声をかけてきた。彼の名はフィシェ。元警視だったが、今は時間を持て余しているので、彼女の夫の捜索に手を貸してくれるというのだ。追い詰められていたクリスティーナは躊躇なくフィシェの申し出を受け入れることにした。

 クリスティーナと学校に行ったフィシェは捜査を続けるうちにミシェルの生存を確信した。そしてクリスティーナから事の次第を聞くと真相まであと一歩のところまで近づいていた。

 フィシェの捜査の進捗状況をまだ知らぬまま不安に苛まれていたクリスティーナが、夜、寝室の窓からふと外を見ると、誰もいないはずの校舎の事務室に灯りが灯っていた。おそるおそる向かうと、事務室のタイプライターに刺された紙にミシェルの名前がタイプされ、傍らには彼の手袋と帽子が置かれていた。恐ろしくなったクリスティーナが自室に戻ると、なんとバスタブの中にミシェルの死体が浸かっていた。あまりの衝撃にクリスティーナの心臓は悲鳴をあげた。さて、ことの真相は。

クリックするとラストが表示されます(ネタバレ注意!)
 クリティーナが心臓麻痺で絶命すると、バスタブの中のミシェルが身を起こした。そしてニコルを呼び寄せると計画がうまくいったとほくそ笑んだ。しかしそこへ2人の企てを見抜いたフィシェが現れ、あえなく逮捕されてしまった。

感想

 クリスティーナ、ミシェルそしてニコルの三角関係は直ちに理解しがたいですが、ミシェルに愛想をつかせてたクリスティーナにはすでに彼に対する愛情は無く、故にニコルに対しても嫉妬心がなかったと考えればまあ飲み込めます。

 恐ろしい凶行に怯え躊躇うクリスティーナを叱咤し、犯行後も全く動じることなく彼女を支えようとする。そんなニコルをクリスティーナは盲信してしまうのですが、実はニコルこそが「悪魔のような女」なのです。とあっさり種明かしをしてしまうのは、容姿も性格も男勝りのニコルを見れば、鑑賞者の多くは早い段階で彼女が黒幕であることに気づくだろうからです。そのことに薄々感づいていたとしても、ラストまで楽しむことができると思います。なんといっても、あらすじには書かなかったもう一人のキーとなる登場人物”モネくん”抜きでは本作の本当のラストは語れないからです。

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