とにかくキレて吠えて噛みつく、今までもこれからもそれがオレの人生 [思秋期]
2011年 イギリス
あらすじ
5年前に妻に先立たれたジョセフは荒れていた。それまでも荒れた生活だったが、拍車がかかって自暴自棄になっていた。唯一の家族の愛犬すらも、博打で負けた腹いせに思わず蹴り殺してしまった。
ある日パブで楽しそうにビリヤードをやっている若者達にムカつき喧嘩を売ったジョセフは、逆襲されてリサイクルショップに逃げ込んだ。店番をしていたのはボランティアのハンナだった。信仰心の厚いハンナは見ず知らずのジョセフにも親切に接しようとするが、ジョセフには、裕福なハンナがお情けで恵まれない人々に親切にしているように思えて面白くなかった。
実際ハンナは高級住宅地に住み、経済的には不自由していなかった。しかし、彼女には誰にも言えない悩みがあった。夫からDVを受けていたのだ。
さすがのジョセフも、親切にしてくれたハンナに牙を剥いてしまったことを後悔した。ジョセフの謝罪をきっかけに、二人は微妙な距離感を保ちながら親しくなっていった。
ある日ジョセフは、夫からのDVに耐えられなくなったハンナから助けてほしいと頼まれた。ジョセフは行き先がないハンナを、やむを得ず自宅で泊めてやることにした。何日か経ち精神的に落ち着いてきたハンナの様子を見て、ジョセフは彼女の私物を取ってきてやるためにこっそり彼女の自宅へ行った。そこでジョセフは信じられない光景を目の当たりにした。
感想
気に食わないことがあると怒鳴り散らし、誰彼構わず威嚇してくる老年の男。実際に近くにいたら絶対に関わりたくないタイプ、ジョセフはそんな男です。そんな男も孤独には耐えられません。ハンナもまた形は違えども孤独でした。そんな2人がふとしたきっかけで出会い、「友情のようなもの」を育み始めますが、そのとき既にハンナの人生は崩壊し始めていました。そんなハンナのためにジョセフが一肌脱ぐという感動話が繰り広げられるわけでもなく、大方の想像どおりの結末となるのですが、エンディングの先に続く2人の「友情のようなもの」を期待させる良作でした。
残念なのは「思秋期」というあまりセンスのない邦題です。しかし原題も「ティラノサウルス」で、それ以上にセンスがありません。タイトルは作品の生殺を決めるものだから、もう少し丁寧に考えても良かったのではと残念に思いました。
ちなみに「ティラノサウルス」とは、ジョセフが大食漢で巨躯であった妻につけたあだ名です。ジョセフが亡き妻への思いを語るシーンを観てあなたはどう感じるでしょうか。個人的には良いシーンだと思いましたが、本作では必ずしも重要なシーンではない辺りがもったいないように思いました。
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