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アーティストは表現し続ける。なぜならアーティストだから。 [ペルシャ猫を誰も知らない]

 イランでインディーズロックを演っている若きミュージシャン、アシュカンとネガルは自由に演奏活動できない母国を捨て、国外に活動の場を見つけようとしていた。知り合いのレコーディングエンジニアのババクに相談しナデルという男を紹介してもらう。ナデルは乗り気でなかったが、デモテープを聴いて2人に才能を感じ、希望を叶えるために協力することにした。
 その日から、ナデルの御膳立てで2人の海外での活動準備が始まった。偽造パスポートの手配、バンドメンバーの人選、渡航前の国内ライブの許可の申請など、イラン当局の規制に邪魔されながらも、計画は着々と進められた。
 しかし最後に不運が訪れた。計画の要となる偽造パスポートのブローカーが警察に逮捕されてしまったのだ。その事実を最初に知ったナデルは、強いショックと自責の念にかられ、行方をくらませてしまった。
 一方、そんなことを知らないアシュカンとネガルは、ネガルと連絡がとれなくなったことに一抹の不安を感じながら、間もなく実現する海外での音楽活動に夢を膨らませながら、最後のライブの準備を進めていた。
 ライブ当日、アシュカンのところへネガルの行方がわかったとの知らせが入る。アシュカンとネガルは、その場所へ急行するが……。