「情けは人の為ならず」という話 [イエスマン ”YES”は人生のパスワード]

2009年 アメリカ

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あらすじ

 銀行員のカール・アレンはネガティブ思考で殻に閉じこもった人生を送っていた。

 ある日カールは、久しぶりに会った知人の誘いで自己啓発セミナーに参加した。主催者のテレンスが「意識は外の世界からもたらされる。外の世界をコントロールする言葉はYESである」と説くがカールは否定的だった。その態度を見咎めたテレンスから「これから先、全てのことに「YES」と答えること」を誓わされ、誓いを守らないと災いに遭うと警告されてしまった。

 会場を出てすぐに、図々しいホームレスに山の上の公園まで車で送ってほしいと頼まれた。カールは渋々応じるが、公園内でガス欠になってしまい徒歩で麓までガソリンを買いに行く羽目になってしまった。教えどおりにならないと愚痴るカールだったが、ガソリンスタンドにたまたま居合わせた女性アリソンにスクーターで公園まで送ってもらうという、ちょっとした幸運に恵まれた。

 テレンスに誓ったとおり、カールはあらゆる頼まれごとにYESと答えた。それとともに、周囲の人々が好意を持ってくれるようになり、カールは自分の人生が充実していると感じ始めた。融資係の仕事でも、それまでとは一転して積極的に融資の申込みに応じるようになり、プライベートでも新たにギターの演奏や飛行機の操縦、韓国語の学習などいろいろなことにチャレンジするようになった。

 そんなある日、たまたま道端で勧誘されてライブハウスへ入ると、そこではアリソンが歌っていた。偶然の再会に二人の距離は急接近した。

 仕事もプライベートも好調のカールだったが、アリソンと一緒にハプニング旅行(行き先を決めずに偶然に任せる旅行)の途中、警察に拘束されてしまった。容疑はテロへの関与。(行き先を探られないように)直前に航空券を購入したこと、(テロの実行のために)飛行機の操縦や(北朝鮮との連絡のために)韓国語を習い始めたこと等がその証拠だというのだ。それらはセミナーの教えに従い全てYESと答えた結果にすぎず誤解であると釈明し放免されるのだが、今度はアリソンにセミナーの教えで機械的にYESと言っているだけで、愛しているというのも本心ではないと誤解されてしまった。

 カールはアリソンの心を取り戻すことができるのだろうか……。

クリックするとラストが表示されます(ネタバレ注意!)
カールは誓いをキャンセルする許可をもらうためにテレンスに会いに行った。
テレンスはカールに「誓いなど元々ない。何にでもYESというのは、本当に肯定的な人間になるための最初のきっかけにすぎない。」と語った。その言葉を聞いたカールはアリソンに改めて自分の気持ちを伝えた。

感想

 ジム・キャリー主演のファンが多い作品ですね。

 セミナーの主催者のテレンスの「意識は外の世界からもたらされる。外の世界をコントロールする言葉はYESである」という言葉は最もだなと思いますが、なかなかできないものです。自己啓発セミナーって危ないイメージがあるのですが、何が危ないって必ず一片の真実が含まれていて、それが他の詭弁を覆い隠してしまうからですね。カールが変なセミナーに勧誘されなかったのは幸運でした。

 ラストの方でカールがアリソンに「以前は自分に自信がなく、人と関わることをためらっていた。いずれ失望されるのではないかと心配だったから」と打ち明けるところに共感できる人も多いのではないでしょうか。

 時々、ジム・キャリーの素(?)の演技が出てくるところも楽しいです。すっかり作中の自己啓発セミナーに影響されて、あらゆることに「YES」と言いたくなる作品ですので、人間関係にしこりを感じている人はご覧になってはどうでしょうか。実践できずともギクシャクするのには自分のリアクションにも一因があることに気づくのではないでしょうか。

 ちなみに「情けは人の為ならず」は、50%弱の人が誤って使っているそうです。

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Basco