2015年 カナダ・ドイツ
あらすじ
年老いたユダヤ人ゼヴ・グッドマンは老人ホームで暮らしていた。彼の認知症は酷くなる一方で、1週間前に妻のルースが亡くなったことも思い出せない有様だった。ルースの喪が明ける日、同じホームで暮らすマックス・ローゼンバーグから、ルースが死んだら実行すると決めていたことを覚えているか尋ねられるが、全く記憶になかった。マックスから、そうだろうと思って書き留めておいてやったから、その通りに実行するよう耳打ちされて封筒を渡された。
ゼヴとマックスは、ともにアウシュヴィッツに収容されたユダヤ人だった。ゼヴが実行を誓った計画は、彼らの家族を殺害した当時の収容所のブロック責任者のオットー・バリッシュへの復讐だった。マックスによれば、オットーはアウシュヴィッツで殺されたユダヤ人ルディー・コランダーに成り済ましてアメリカに逃亡し何食わぬ顔で暮らしているとのことだった。そして手紙には同時期にルディー・コランダーの名で渡米した4人の現在の居所が書かれていた。
ホームを抜け出したゼヴは、途中記憶を失いかけながらも手紙の指示に従って計画を進めた。1人目のルディーは従軍していたがアフリカ戦線にいたので別人、2人目のルディーもドイツ人ながら同性愛者であったためにユダヤ人とともにアウシュヴィッツに収容されていたので別人だった。そして3人目のルディーはすでに死亡していたが、彼も陸軍の調理師だったので別人だった。遂に手紙にあるルディーは1人に絞られた。彼がオットーに違いないと確信したゼヴは彼の邸宅を訪問し、いよいよ復讐を遂げようとする。しかし、そこで思いもよらない事実を知らされるのだった。
感想・コメント
認知症の主人公が記憶をつなぎとめておくために手首に「手紙を読め」とボールペンで記すあたり等「メメント」を彷彿とさせるストーリーです。ただし、メメントほどプロットが凝っていないので、分かりやすく正攻法のサスペンスといえます。
今なおナチズムに傾倒するドイツ系アメリカ人とその影に怯えるユダヤ人との間にある深い溝を知ることができ、それだけでも鑑賞する価値がありました。期待以上の良作です。
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同じく記憶障害をモチーフにした名作「メメント」です