2014年 アメリカ
クーパーは元NASAのエンジニアだった。
地球環境は荒廃し、毎日のように発生する巨大な砂嵐で作物も育たなくなってきていた。
地球規模で食糧危機が発生する中で、多くの人々が農業に従事し、必死に生きていた。NASAは解体され、今やクーパーも2人の子供と父とともに農業家として働いていた。
ある日、娘のマーフが最近自分の部屋の本棚から勝手に本が落ちると言い出した。彼女はそれがモールス信号ではないかと言うが、マーフが元々少し変わり者だったこともありクーパーもまともに取り合わなかった。しかし間もなくクーパー自身も実際にその現象を目の当たりにし、それが単なる自然現象ではないと勘付いた。そして、それが何かの座標を示していることに気づいた。
クーパーはマーフとともに座標が示す場所に車を走らせた。そこにあったのは解体されたはずのNASAの秘密基地だった。
そこでかつての上司だったブランド博士と再会したクーパーは、博士達が地球の将来に見切りをつけ、人類を他の惑星に脱出させる計画を進めていることを知らされた。すでに博士達は約50年前に突如できたワームホールを利用して、これまでに12人の研究者を他の銀河系に送り込んでいた。クーパーは博士から、パイロットとしてワームホールの向こう側へ飛び、人類が生存可能な星を探してきて欲しいと頼まれた。クーパーは子供達の将来のためにその計画に参加することにした。マーフの反対を押し切り、クーパーは他の研究者とともにワームホールに向かって飛び立った。
いくつかの星から先に出発した研究者からの生存シグナルが発せられていた。最初に降り立った星は時間の進み方がかなり遅く、その星での1時間は地球での7年に等しかった。クーパー達は最小限の時間で探索を終える予定だったが、予期せぬトラブルで時間をロスしてしまった。クーパーにとってはほんの数時間の出来事だったのに、その間地球では23年もの歳月が流れていた。船に戻ったクーパーがその間送信されてきたビデオレターを視聴すると、画面に映る子供達は瞬く間に大人になり、マーフはNASAでブランド博士の元で働くようになっていた。最後のビデオにはクーパーを待つのに疲れ再会を諦めた子供達からのお別れのメッセージが記録されていた。
ショックを受けながらもクーパー達はマン博士がいるという次の星へ向かった。ベースキャンプで生存していたマン博士からクーパーは衝撃の事実を知らされた。ブランド博士は最初から地球上の人類を脱出させるつもりはなく、宇宙船に搭載した受精卵から新たな命を芽生えさせ、新たな星で人類を存続させる計画だったというのだ。
さらに裏切りは続いた。マン博士はその星が人類が生存することができない環境であることが分かっていたのに、自分が地球に戻りたいがために迎えの船が来るよう嘘のシグナルを発信していたのだった。着陸船を奪って自分だけ母船に戻ろうとしたマン博士の操作ミスによって、地球に帰還するための母船は破壊され宇宙のチリとなってしまった。
絶望的な状況下でクーパーがとった行動は。彼の子供達や地球上の人類の運命はいかに。
時空の魔術師クリストファー・ノーラン監督作品です。
ワームホール、ブラックホール、高次元など一般人には難しい世界をうまくデフォルメして描いています。最初のうちは本棚の本が勝手に落ちる等と言い出すのでオカルトものかと思ったり、地球環境が破壊されて食物危機が起きていると言い出すのでパニックものかと思ったりしましたが、実は壮大なスケールのSFもので、SFというより日本語で「空想科学映画」といいたくなる作品でした。
宇宙空間で遭難する映画は他にも結構ありますが、この作品は太陽系辺りを遭難している他の作品とは遭難のスケールが違います。何せワームホールで別の銀河系に行った上にブラックホールに突入し、高次元の世界を彷徨うのですから。何を言っているかわからないと思いますが、観れば分かります。
荒唐無稽なストーリーをうまくオブラートで包んでリアリティを持たせる製作陣の力量に感心しました。ややこしめのストーリーなのに伏線回収も丁寧ですし、後半は深く考えると難解ですが雰囲気で観れば素直に感動できるラストになっているところも秀悦でした。お勧めします。
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View Comments
こんにちは。
もしかしたら初めましてかもしれませんが、この映画は見所満載で最後まで楽しめましたね。スリリングでもあり、お気に入りの一本でもありますよ。
ちびゴリさんはじめまして。ブログ拝見しております。
コメントありがとうございました。本当に最後の最後まで楽しませてくれるサービス精神満載の作品でしたね。