暴走する自己愛と生存本能 [エスター]

2009年 アメリカ

コンテンツ

あらすじ

 ケイトは夫のジョンと長男のダニエル、長女のマックスと一緒に高台の高級住宅で暮らしていた。

 三人目の子供を死産して喪失感に苛まれるケイトの希望で、夫妻は孤児を受け入れることにした。孤児院を訪れた夫妻はエスターという女の子の才能に感銘を受け、彼女を養子に選んだ。シスターによると、彼女はロシアの孤児院にいた経歴があるとのことだった。

 夫妻は行儀よく賢いエスターを気に入ったが、少し気になることもあった。エスターは子供らしくないドレスで学校へ行くことを好み、決まって首と両手首にはリボンを巻き、入浴中はバスルームを施錠して誰も中に入れなかったのだ。そしてもう一つ、決して健康診断を受けようとしないのだ。

 数日後、エスターがクラスメイトを突き落としたという苦情が寄せられた。エスターは否定したがケイトは一抹の不安を感じ始めた。そしてある日、弾いたことがないと言っていたはずのピアノを完璧に演奏しているエスターを偶然目撃し、ケイトは戦慄した。ケイトはエスターの本性をジョンに訴えたが、行儀の良いエスターしか知らないジョンは彼女の思い過ごしだと取り付く島もなかった。

 ある日、孤児院のシスターが夫妻の元へ訪れた。そして彼女から恐ろしい事実を告げられた。喧嘩や万引きの現場には必ずエスターがいたし、前の養父の家の火事も放火だったというのだ。シスターの話を盗み聞きしていたエスターは、自分の過去を暴かれてしまうことを危惧し、マックスに協力させて帰路についたシスターを殺害した。

 エスターが自分の子供達に危害を加えるのではないかと心配したケイトは、その後もエスターの素性を密かに探った。エスターは自己防衛のために自傷行為で腕を折り、ジョンにケイトに虐待されていると訴え彼を自分の味方につけようとした。エスターの思惑どおり夫妻は仲違いしケイトが悪者に仕立て上げられそうになった。

 エスターとケイトの生存競争が繰り広げられる中、ケイトはロシアの施設からエスターについて驚愕の事実を知らされた。

クリックするとラストが表示されます(ネタバレ注意!)
ケイトはエスターの本にスタンプが押されていた「サールン・インスティテュート」に手紙を送った。
まもなく、その施設の医師から連絡があった。ケイトはそこが孤児院だと思っていたが精神病院だった。
医師は緊迫した口調でケイトに家族を避難させてから通報するよう警告した。
そして医師の口から恐ろしい事実が次から次へと明かされた。エスターは子供ではなくホルモン異常で下垂体性機能不全の疾患を持つリーナという名の1977年生まれの33歳であること、非常に凶暴で首と手首に拘束衣の跡があること、生涯のほとんどを子供として生きてきたこと、これまで七人は殺害していること、1年前に精神病院を脱出したこと……
ケイトは家路を急ぐが、そのときすでにジョンはエスターに殺害されていた。エスターが次の獲物のマックスに手をかけようとしていたとき、間一髪間に合ったケイトがエスターの息の根をとめた。

感想

 サスペンスもので、Twitterでも人気の作品です。

 往年の名作オーメンを思い出します(本作と同じような雪山のシーンが出てくるのは2だったか3だったか……)。

オーメン1 トレーラー

 悪魔の子供という設定ゆえに、オーメンの方がスケールが大きい話ですが、この作品の方が現実味がありそうで不気味です。ロシアとか東欧が絡むと、ありえない話ではないと妙に思えるところが不思議です。最後の方は、これも往年の名作「ヒッチャー」を思い出しました。

ヒッチャー トレーラー

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Basco