2017年 アメリカ
「生まれる理由ってなんだろう」そう思いながら生まれてきた一匹の子犬。死にそうになっているところをイーサンという名の少年に救われ、ベイリーと名付けられ飼ってもらえることになった。ベイリーは可愛がってくれるイーサンのことが大好きでたまらなかった。
高校生になったイーサンは有望なアメフト選手となって大学に推薦入学することが決まっていたが、それを嫉妬した同級生のせいで足を痛めて夢を断念することになってしまった。イーサンは当時付き合っていたハンナとも別れ、祖父の農場を継ぐために遠く離れた農業大学へ旅立ってしまった。ベイリーは大好きなイーサンが戻ってくるのを待ち続けていたがやがて老いて死んでしまった。
ベイリーは警察犬となって、再びこの世に戻ってきた。イーサンのことを思いながら警官のカルロスと生活を共にするが、カルロスを犯人から守るために撃たれて死んでしまった。
まだまだ輪廻は終わらない。次はコーギーとしてこの世に戻ってきた。飼い主は内気な女学生のマヤ。マヤは大学の同級生と、お互い飼っている犬がきっかけで付き合い始め結婚し、やがて2人の子供に恵まれた。そんなマヤの家族と一緒に幸せな日々を暮らしながら、やがて老いて死んでしまった。
そしてまたこの世に戻ってきた。今度は貧しいカップルの家に飼われるが、捨てられてしまった。野良犬となって街を徘徊しているうちにドッグランでイーサンのかつての恋人ハンナを見かけた。そのまま当てもなく歩き続けているうちに農場へ迷い込んだ。そこはイーサンと別れたあの農場だった。一目散にイーサンの住む家へ行くが、彼には全く別の犬種のその犬の魂が元ベイリーだとわかるはずもなかった。イーサンは昔のような優しさや朗らかさも失って孤独な生活を送っていて、迷い犬に寄せる同情も持ち合わせていなかった。彼はベイリーを収容所へ連れて行った。
落胆するベイリーだったが、翌日考えを変えたイーサンが引き取りに来てくれた。ベイリーはイーサンから「バディー」と名付けられ飼ってもらえることになった。イーサンに元気を取り戻してほしかったベイリーはハンナを見かけたドッグランまで行くと、彼女の家まで着いて行った。驚いたハンナがベイリーの首輪を見ると、そこにはイーサンの名前があった。
ベイリーを連れてハンナがイーサンの家を訪問し、久しぶりに2人は再会した。ハンナは結婚したが既に夫に先立たれていた。イーサンは生涯独身だった。イーサンはハンナにかつて彼女を置いて遠くに行ってしまったことを謝った。まだ愛し合っていた2人は結婚することになった。
ベイリーはイーサンが幸せになって満足だったが、もう一つだけ願いがあった。それは彼に自分が「バディー」ではなくベイリーだということを知ってもらいたかった……
愛犬がいれば抱きしめたくなってしまうこと必死。犬を飼いたいなと思っていた人は翌日には犬を新しい家族として迎え入れてしまうかも知れません。そんな作品です。犬の一生は短く、その10歳は人間の年齢にすると55歳くらいだと言われます。イーサンが少年から老年になるまでの間に、ベイリーは何度も転生輪廻(なぜか犬にしかならないが)を繰り返し、そして最後にずっと大好きだったイーサンと再会を果たすというストーリーは斬新だと思いました。そして「吾輩は猫である」よろしく犬の一人称視点も非常に効果的でした。犬好きから犬嫌いまで是非観て欲しいと思います。そして犬を飼おうと思って人は、できればペットショップではなく、シェルターに行って保護犬を引き取ってもらいたいと思います。私もシェルターから譲ってもらった犬を飼っていますが、本当に利口(したたかでもある)で可愛い相棒です。この作品を観てこいつも昔私が飼っていた犬の生まれ変わりかもと、その犬の名で愛犬を呼んでみたところ、ちょっと意味深な表情で振り向きました。
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