素朴な幸せに満たされた小さな船 [アタラント号]

1934年 フランス

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あらすじ

 フランス。村の娘ジュリエットが嫁いだ相手は船乗りのジャンだった。村人たちに見送られ、ジュリエットはジャンが待つ貨物船アタラント号に乗船した。アタラント号は河川を運行する小さな船で、船員は船長のジャン、老年の副船長、若い見習い船員の3人だけだった。

アタラント号
ジャンと副船長そして見習い船員

 最初は船の上の新婚生活を楽しんでいたジュリエットだったが、次第に狭い船上での暮らしに飽きてきた。しかしやがて船が憧れのパリに立ち寄ることを知り、期待に胸を膨らませるのだった。

喜びに満ちたジャンとジュリエットの新婚生活

 しかしパリに着くと早々に副船長が下船して街に繰り出してしまった。夜中に泥酔状態で戻ってきた副船長に怒ったジャンは、予定を変更してすぐに船を出してしまった。楽しみにしていたパリ見物がフイになって不機嫌になったジュリエットをなだめるため、ジャンは次の町でダンスホールへ連れていくことにした。しかし、それが思わぬ事態を招いてしまった。店にいた若い行商人の男にパリの街の素晴らしさを語り聞かされたジュリエットが、我慢できずにこっそりパリ見物に出かけてしまったのだ。

 ジュリエットがいなくなったことに気づいたジャンは、またしても怒りに任せて船を予定より早く出航させた。そのためパリ見物から戻ってきたジュリエットは置き去りにされてしまった。

後悔に押しつぶされ抜け殻になってしまうジャン

 時間が経つとともに、ジャンの胸中にジュリエットを置き去りにした後悔が積もり積もって、ついには抜け殻のようになってしまった。そんなジャンを見かねた副船長はジュリエットの捜索に乗り出し、町を彷徨っていた彼女を奇跡的に見つけ出すのだった。再会の喜びを噛み締めるジャンとジュリエット。そしてまた、4人の船上での暮らしが始まるのだった。

感想

 時代背景が分からない作品を完全に理解することは難しいものです。本作の舞台となる当時のフランスでの庶民の生活様式など分からないので推測しつつの感想となります。この作品が制作された1934年は、日本が第二次世界大戦への道を突き進み続けていた時期です(5年後に開戦)。世界的に電話は普及しつつありましたが、まだまだ一家に一台という時代ではなかったようです。そう考えると、怒りに任せてジュリエットを置き去りにしたジャンの後悔を理解することができます。今のように通信手段が発展していなかった故に、行き別れたままになることを覚悟しなければならなかったのです。

 当時のフランスの庶民の生活を垣間見ることができます。ポスターアートがタイタニック号っぽいですが、船のスケールも話のスケールもそれより全然こじんまりとしています(そこが良い)。

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副船長は猫好き

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Basco