2012年 アメリカ
ブレーブスの伝説的スカウトであるガスは、加齢による目が霞みに悩まされていた。彼の後釜を狙うフィリップは、ゼネラルマネージャー(GM)に自分を売り込むために、ガスのことをコンピュータも使わない時代遅れのスカウトだと批判を繰り返していた。実際、球場に足を運び選手のプレイを自分の目で確かめなければならないというのがガスの流儀だった。
ガスの一人娘ミッキーは法律事務所でパートナー(共同経営者)になれる大きなチャンスをつかみつつあった。彼女はガスのことを父親として慕っていたが、彼の一匹狼気質のせいで、二人の関係はいつもギクシャクしていた。
ある日ガスは、球団の担当者ピートから、フィリップが推している高校生のボー・ジェントリーという選手をドラフトで指名すべきか見定めて欲しいと依頼され、現地に向かうことにした。目の調子が悪いガスのことを心配していたピートは、ミッキーにガスに同行してもらいたいと頼んだ。ピートの話を聞いて心配になったミッキーは、ガスに専門医の診察を受けてもらうべきと進言するが、彼が全く耳を貸さないためまた喧嘩になってしまった。
喧嘩別れしたものの父のことを心配するミッキーは、自分の仕事を後回しにしてガスの後を追った。2人は気まずさを残しながらボーが出場する試合を観戦した。地元では人気選手だった彼は周囲の仲間を見下した横柄な態度をとっていた。小さいときからガスに球場に連れて行ってもらっていて野球には詳しかったミッキーは目がよく見えないガスの手助けした。そんなミッキーの献身を踏みにじるように、ガスは彼女に感謝することなくさっさと帰れと追い払おうとするのだった。
翌日も2人でボーの試合を観戦したが、その帰り道、意地を張って車を運転したガスは交通事故を起こしてしまった。ガスは自分がミッキーに頼らざるを得ない状況にあることを思い知った。ガスはミッキーと向き合うために朝食に誘うが、母親が死んでから、親戚に預けたり、寄宿学校に入たりして、ずっと距離をとっていたのはなぜかというミッキーの問いに答えられず、再び険悪になってしまった。
最終試合で、ガスはミッキーの助けも借りてボーに変化球が打てないという打者として致命的な弱点があることを突き止めた。ミッキーがよく見えないのになぜ分かるのかと尋ねると、彼は「音でわかるんだ」と答えた。
ミッキーは予想外の長旅で自分の仕事が疎かになってしまい、パートナーになるチャンスを逃してしまった。
ドラフト当日。ガスは球団にボーを指名しないようピートに電話を入れた。ガスを信頼するピートはGMにガスの意見を採用するよう強く進言するが、フィリップの意見が採用され彼を指名することになってしまった。
自分の意見が通らずに気落ちしたガスは引退を決意した。ミッキーが自分もパートナーになるのを諦めると言い出すと、ガスは俺はお前のために働いたのにそんなことはダメだと叱った。そしてついにガスがミッキーと距離をとり続けた理由を打ち明けた。ミッキーが幼い頃、球場で彼女が男にいたずらされそうになったこと、その男を怒りに任せて気絶させるまで殴り続けたこと、その一件で自分に子供を育てる資格はないと考え他に預けることにしたこと。
それを聞いたミッキーは、ずっと自分が父親に拒絶されていると感じていると思わなかったのかガスを詰ったが、ガスの答えは「オレは変わることはできない。役立たずの老いぼれだ。オレから距離をとってくれ」と頑なだった。
翌朝、ミッキーが目覚めると既にガスの姿はなかった。悲しい気分で帰り支度をしているとモーテルの駐車場から球を投げる音が聞こえた。ミッキーが様子を見に行くと、そのモーテルの経営者の兄弟がキャッチボールをしていた。ピッチングをしていたリゴ・ベルトという少年の才能を見抜いたミッキーは、すぐにピートに電話をしてテストしてほしいと頼んだ。
ブレーブスの球場。ガスがGMから引退するよう勧告されているところに、ピートが新しいテスト生を皆で見にきて欲しいと言いにきた。
グランドではバッティング練習をしていたボーが快音を鳴らしていた。そこへミッキーが連れてきたリゴが現れ、彼のバッティングピッチャーをすることになった。事情が飲み込めないガスに、ミッキーは「純粋な音を聴いたの」と耳打ちした。そしてリゴが投げたボールは……。
クリント・イーストウッド主演の映画です。監督はしていません。
頑固な父親とそれを慕う娘の和解という設定はなかなか良かったです。なんだかんだ言って、やっぱり子供は親の影響を色濃く受けるんだなぁと改めて感じました。
全体的にはそつない作りで、登場人物も多くないので途中で迷子になったりすることもなく安心して鑑賞できます。ただ、ガスがミッキーを避ける理由がいまいち腑に落ちないところがやや残念でした。また、あらすじでは触れていませんが、ジョニーという元ブレーブスの選手で現在はスカウトをしている男がミッキーと恋仲になる役どころで登場するのですが、必要だったのかなぁとも思います。まあ、ジョニーの演者がジャスティン・ティンバーレイクということで、何かしらのしがらみがあったのかも知れませんね。
本作を鑑賞するときは、そういった細かいところからは目を背けて、メインストーリーに集中することをおすすめします。最後の大逆転など、ご都合主義と冷めた目で見るのはもったいない!単純にその痛快な展開をガス達と一緒に喜びましょう。
実は私は野球はあまり好きではないのですが、この作品とても楽しめました。ですから、私と同じように野球に興味がない方も、それを理由にこの作品をスルーするのはもったいないですよ。