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「生ききった」と思いながらこの世を去りたい [幸せなひとりぼっち]

 人は皆、いずれ老い、天寿を全うする。目の前にいる老人も、かつて赤ん坊であったり若者だったときも当然あったはずなのに、年下の者は視覚に惑わされ、そのことを忘れてしまいがちだ。この作品ではオーヴエという一人の老人の半生を垣間見ることで、そのことを思い出させてくれる。オーヴエの人生を俯瞰すると幸せな時期よりも不幸な時期の方が多い。しかしオーヴエ自身はとても幸せな人生だと思いながら、この世を去ったことだろう。ラストを観ればその理由はわかる。しかし敢えてここでは書かない。是非皆さんの目で確かめて欲しい。
 そうそう、老人ホームでまるで幼稚園のように絵を描かせたりしているのを見ると、人生を経験してきた先人を蔑んでいるようにしか思えない。私がホームに入らざるをえなくなる頃には、日中は個室で映画鑑賞など好きなように過ごさせてもらい、夕方からは酒が飲めるバーがあるようなホームができていて欲しいものだ。そんなヤツはホームに入る必要がない?確かに一理あるが孤独死はイヤだなと思うのだ。将来AppleWatchに孤独死お知らせ機能がついていれば、そんな心配とも無縁になるが。