男と女のラブゲーム(大惨劇編) [ハネムーン・キラーズ]
1970年 アメリカ
あらすじ
マーサは(太めの)堅物の婦長だった。隣人の勧めで文通クラブに登録した。最初は乗り気でなかったマーサだが、レイ・フェルナンデスという男性との文通に熱を上げ、彼が住むニューヨークまで押しかけるまでになった。彼女と縁を切りたかったレイは、自分が結婚詐欺師であることを打ち明けた。
レイの正体を知った後も、マーサのレイに対する気持ちは変わらなかった。仕事を辞め同居していた母親を見捨て、レイの家に押しかけた。そして、十分な金を稼いだら結婚詐欺は辞めるというレイの言葉を信じ、それまでは彼が他の女に心変わりしないよう身内(姉であったり妹であったり)のふりをして行動を伴にすることにした。
マーサが一緒になって、レイも仕事のやり方を変えざるをえなかった。何故ならマーサの嫉妬心がレイを急かすからだ。当然相手の女性からも疑われるようになるが、女性が騒ぎ出すとマーサは迷いもなく殺害するのだった。
最初は人を殺めることに罪悪感を感じていたレイだったが、そのうちそれもやむを得ないことと思うようになった。
次々と女性を殺害した2人は、次のターゲットの女性の家を訪れた。
マーサはその女性から、レイとの子を妊娠したことを打ち明けられた。マーサは元々の嫉妬心とレイとその女性が関係を持っていたことを知らなかったことへの怒りから、その女性の殺害を決意し毒薬を飲ませた。その直後、女性に生理が来て妊娠していなかったことが分かったがもう手遅れだった。外出先から戻ってきたレイがマーサから事情を聞くと女性を射殺した。
レイの裏切りに打ちひしがれたマーサは、レイが死体の処理をしている間に自ら警察に通報し、レイ共々逮捕された。
裁判の被告として拘置されているマーサのところに、同じく拘置されているレイから手紙が届いた。
”いずれ2人共死ぬことになる。その前に言っておきたいことがある。愛していた女はお前一人だ。あの世で会おう。”
2人は1951年3月8日にシンシン刑務所で電気椅子で処刑された。
感想
実話ベースとのことです。
あらすじの最初にカッコ書きで「太めの」としましたが、マーサがそれまで恋愛に恵まれなかったのが体型のせいと仄めかすシーンがあるためで、個人的には体型とその人の魅力は関係ないと思っています。また、実際には彼女は未婚ではあったものの2人の男性との間に出来た子を2人出産していたそうです。
一方のレイは、スペインの商船やイギリスの諜報機関で働いたこともあったようですが、その後頭蓋骨を骨折する事故に遭い、その際に前頭葉に損傷を受けたことから行動様式が変わったのではとも言われているようです。
2人は20人以上殺したと言われていますが、さすがに本作でその全てを語っているわけではありませんし、実際にはマーサではなく不審に思った隣人の通報で逮捕されたとのことです。
思ったのは、寂しい女性を騙して財産を騙し取る詐欺師のレイと、真面目な看護婦長のマーサが知り合うことがなければ、こんな惨劇は生まれなかっただろうということです。2人ともそれまで人を殺めたことはなかったのですから。不運な組み合わせでしたね。趣味が合うもの同士の仲良し夫婦は理想的かも知れませんが、共鳴して変な方向に行ってしまわないよう、2人きりの閉じた世界に籠らないよう注意が必要ですね。パチンコ好きの夫婦が育児放棄してしまうというのもその一種と言えるのでしょうか。
最後にレイがマーサに送った手紙がどこまで本心だったのか、私には分かりませんでしたし、本人達にも分からなかったかも知れません。人は嘘を塗り重ねると、やがてその嘘を信じ込むようになり、自分の本心を見失ってしまうからです。信じた以上、何であれそれが本心だとも言えますが。なお、この手紙の部分が実話に基づくエピソードなのかも不明です。
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こんばんは。
カルト映画という評判で鑑賞しましたが、衝撃的な映画でした。実話に基づいた映画というのも納得です。
でもある意味、とてもいい映画だと思いましたよ。
コメントありがとうございます。
私は、マーサは良くも悪くも良妻気質だったと思うので、やはりレイがさっさと結婚詐欺師から手を洗えばよかったのにと感じました。しかし人間、簡単には生き方を変えられないものですよね。犠牲になった女性もマーサも可哀相だと思いました。