自分を信じても成功できるとは限らないが、自分を信じなければ成功することはできない [シェフ〜三ツ星レストランの舞台裏へようこそ〜]

2012年 フランス

あらすじ

 料理の腕も知識も確かだが、こだわりがすぎるジャッキーは、レストランを次々と首になり、とうとう失業してしまった。もうすぐ出産を控えている恋人のベアトリスからは、このままでは別れるしかないと言われてしまった。ベアトリスを失いたくない一心で、ジャッキーは塗装のアルバイトを始めた。作業現場は老人ホームだった。窓ごしに見えた入居者たちの食事の貧弱さに呆れたジャッキーは、黙っていられず厨房へ行くと、勝手に有り合わせの食材で料理した。見たこともない洒落た料理に、老人たちは最初こそ拒絶反応を示したが、やがてジャッキーの料理は人気となった。

 そのころ、三つ星レストラン・ラガルトのシェフアレクサンドルは、先代から社長の席を継いだ息子のスタニスラフと対立し悩んでいた。アレクサンドルは、スタニスラフから時代遅れの料理だと批判され、星を維持できなければシェフを辞めさせるとプレッシャーをかけられていた。そればかりでなく、優秀な部下まで奪われてしまった。何としてでも彼を追い払おうという魂胆が見え見えだったが、アレクサンドルも自分が築き上げた名店を明け渡すつもりはなかった。

 ある日アレクサンドルは、力を貸してもらうために先代がいる老人ホームを訪れた。そこは偶然にもジャッキーが塗装作業をしながら、こっそり調理を手伝っていたホームだった。アレクサンドルはジャッキーの料理に感心し、アシスタントとして雇うことにした。アレクサンドルの方は単なる助手として雇ったつもりだったが、料理に対して絶対妥協しないジャッキーはトップシェフのアレクサンドルに対して物怖じせずに意見した。プライドを傷つけられたアレクサンドルは憤ったが、よくよく考えると彼の進言は当を得ていることに気づいた。それからは彼の意見を取り入れるようになり、新メニューを完成させるための協働作業が始まった。試行錯誤を繰り返し遂に新メニューを完成させた二人は、ミシュランの調査員が店にやってくる日に披露するつもりだった。しかし、まさにその日、スタニスラフの陰謀で食材の仕入れが出来ず、厨房が空っぽというまさかの事態に陥ってしまった。このままでは星を失うどころか、大恥をかいてしまう。さて、最大のピンチを乗り越えることができるのか。 

クリックするとラストが表示されます(ネタバレ注意!)
慌てて近所の食料品店からありったけの食材を買い込むと、一致団結して準備を進めた。
アレクサンドルに恥をかかせる気満々のスタニスラフがミシュランの調査員と共に来店した。しかし彼の思惑は外れ、ジャッキーが中心となって作り上げた料理は調査員に大ウケだった。慌てたスタニスラフは手のひらを返しアレクサンドルを称賛し始めた。
ホールに現れたアレクサンドルはジャッキーを自分の後継シェフにすると電撃発表した。その発表はまたたくまにニュースになった。
店に現れた先代が、店の名を汚そうとしたスタニスラフに社長の座を譲るのを止めると言い渡した。
ジャッキーは喜びいっぱいにベアトリルのところへ向かった。

感想・コメント

 「シェフ」ものは人気のジャンルです。この手の話の主人公は大体「星」に取り憑かれている場合が多いですが、この作品も御多分に漏れません。そういった意味では、よくある話なのですが、料理人として命運付きかけていたジャッキーがアレクサンドルと偶然出会い、一躍一流シェフの仲間入りするというストーリーは夢があってよかったです。そもそも料理といえば幸福感を連想するので、この手のジャンルで不幸な結末を迎える作品はほとんどありませんが。

 人生、成功するか否かは運次第ですが、運があっても「売り」がなければ決して成功することはありません。そう言った意味では、自己研鑽は成功するための絶対条件なのだと思います。こういった映画を観るたびにそう思うのですが、すぐに自己研鑽の重要性を忘れてしまいます(いや、本当は忘れていないのですが億劫になって忘れたことにしているだけかも)……大抵はそんなものです。それを忘れない一握りの人だけが成功するのだとすれば、実は「運」はさほど重要な必要条件ではないのかもしれませんね。私がちまちま練習しているギターも1年以内もしくは90日以内に90%の人が脱落してしまうと言われています。それが事実だとすると、ギターリストを目指した人が100人いたとしたら、その夢を実現できる可能性は100人中○人ではなく、10人中○人ということになります。その○人になるには途方もない練習量が必要だとしても、何となく手が届きそうな気がしませんか。もし何かを目指している方がいたらそういうふうに考えて夢の実現に向けて頑張ってください。

 少し脱線しましたが、ほっこりできるライトボディのいい作品です。

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Basco